Shibuya.trac第11回勉強会〜プロジェクトの可視化〜に参加してきました。ポイントはレポートとワークフロー

4月13日昨晩、Shibuya.trac第11回勉強会〜プロジェクトの可視化〜に参加してきました。私はTracの競合製品であるJIRAの開発元に勤務しているのですが、Shibuya.tracの活動は好きで勉強になりますし情報交換もできますから、しばしば参加させて頂いています。
日本においてはTrac、JIRA、それからRedmineといった課題管理システム(ITS = Issue Tracking System)の普及率が海外と比較してとても低いのが現状です。なので、競合製品とはいえ、Tracコミュニティは、私からするとITSを日本に普及させ、日本の開発を効率化し、ひいては国際競争力を上げるために注力する同志、という風に「勝手に」思っています。(2011年2月のDevelopers Summit 2011で「チケット管理システム大決戦 JIRA vs Redmine vs Trac 〜ユーザーが語る、なぜ私はこのツールを使うのか」というセッションを開催しており、その時の資料などをこちらに公開しています。)

さて内容ですが5つの役に立つプレゼンと、恒例のスイーツタイム(!)でした。
行われたプレゼンのタイトル、発表者などを下記します。

プレゼンのアジェンダ

  1. チケットシステムではじめるはじめてのアジャイル開発(@LightningX)
  2. ReportInclude、Worktimeプラグインの活用事例について(hirohiro)
  3. 続、とある会社でのTrac利用事例〜可視化とレポート活用事例〜(仮)(kanu-orz)
  4. Redmineには負けないっ!!プラグインで拡張したワークフローをExcelで状態遷移図にして編集する(@okazakiyuji)
  5. Linux女子部(@mana_cat)

ざっと調べてみましたがプレゼン資料はまだ公開されていないようです(4月14日8:30現在)。各発表者のTwitterやHatenaをフォローしてみてください。

その他の資料

Tweets (ハッシュタグ#shibutra) をまとめたトゥギャッターはこちら
Ustream録画はこちら

かんそー

今回の勉強会では、Kanon Allegro の紹介に続いていくつかプレゼンが行われました。私はこの中で、ITSに関する2つのポイントがあったと思います。それはレポートワークフローです。この2つはTracユーザーだけではなく多くのITSユーザーにとっても気になるポイントです。(ワークフローの方は今回の勉強会タイトルである、プロジェクトの可視化からはちょっと離れますが。)
レポートは現在のプロジェクトの状況を常に把握し、できれば直感的に視覚的に把握でき、その後のプロジェクト進行にフィードバックすることの重要性を考えると、優れた使いやすい機能が欲しいところです。
ワークフローは、チームや組織によって、作りたいフローが異なることが多いのでカスタマイズが簡単にできることが重要です。
今回はそれらについてのプラグイン開発、使用事例、活用事例などが発表されました。詳しい内容については資料をご覧になるか、おそらく他の参加者がレポートされると思いますのでご覧ください。
参考として、私はJIRAについて、レポートとワークフローを簡単に説明したいと思います。


JIRAのレポートは次のような流れで行います。

  • 検索
  • 検索条件をフィルターとして保存
  • ガジェットで検索結果を表、あるいはチャート表示

検索はキーワードを入力するだけのクイック検索と、複雑な条件で検索する JQL (JIRA クエリーランゲージ) サーチの2種類があります。JQLは最初の一文字を入れるとサジェスチョン機能により関数や演算子などが表示されますので、SQLとは比較にならないほどとても簡単なものです。
フィルターはガジェット表示の他、RSSフィード購読ができたり、他のメンバーと共有ができたりします。またガジェット表示させておくと、その検索条件に当てはまる課題一覧はダイナミックに更新されます。
JIRA検索、レポート表示についてはブログをいくつか書いていますのでご興味がありましたらご覧ください。



JIRAのワークフローの評判は「かなり柔軟にワークフローをカスタマイズできるけれど、その分だけ設定が難しそうに見える」というものでした。確かにそういう側面があるのですが、それを補うプラグイン「JIRAワークフローデザイナー」というものがあり、視覚的に簡単にワークフローを作成できます。サードパーティ製だったのですが、2011年2月に買収し自社製品になりましたので、JIRAユーザーは無料で使えるようになりました。JIRAワークフローデザイナーのビデオはこちらです。最初の55秒は従来の方法、その後がこのプラグインを使った場合のデザイン方法です。

まとめ

このようにTracとJIRAでは、できることに違いがあります。またJIRAは商用製品で、TracOSSという違いもあります。OSSは無料なので誰でも気軽に使えます。
重要なのは、商用製品でできるのはここまで、OSSでできるのはここまで、という守備範囲を正しく認識して自チームのコンテキストにあったものを選択することです。やりたいことがお金を払ってでも必要なものなのか、あるいはOSSで十分カバーできるものなのかを見極めることです。また、商用製品を使うことにより見込める工数削減、そして人的コストの削減と、それに支払う費用のバランスです。(工数が多いほど収入が増える日本のSIビジネスではそのコスト計算が成り立たないのが、この業界のおかしな点ですが、、、)。私としてはそれらの判断に役立つ情報を提供していければと思います。

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バー併設の素敵なミーティングスペース。

会場提供はKDDIウェブコミュニケーションズさん。