受託開発業界に本当の競争がないだけだ

このブログ記事「人月は悪どころか、ものすごい善かもしれない」を読んでとても違和感があった。

筆者は、スマフォアプリは安いからヒットしても500万円程度で、かかる手間に対してリターンが少なすぎる、人月商売でかかった時間に対してお金をもらえる仕組みの方がもしかしたら善なのではないかと言っている。

それは違うと思う。価格はコストや競争で決まる。

コスト(原価)が100円だから利益を50円のせて150円にしようとか。ライバル会社が150円で販売しているからうちは140円で販売しようとか。

価格を決める根拠が人月であるか他のものであるかはどうでもいい。そこに競争があれば、自然と価格は決まっていく。あるいはその価格で作れないメーカーは勝てないだけだ。

日本のSI業界、受託業界で人月計算がまかり通っているのは本当の競争がないからだ。一方、スマフォアプリは世界中のデベロッパーを相手に、オープンなプラットフォームでの競争にさらされている。この2つの市場の価格決定要素を一緒に議論するのは間違いだ。

まあ、日本のSI業界にもしゲームチェンジャーが現れ、本当の競争が起こったら、人月計算が悪だ善だと言っている余地はなくなるだろう。

永和システムマネジメントの「価値創造契約」や、ソニックガーデンの「納品しない」受託開発は、そのゲームチェンジャーの候補かもしれない。

ただし、その両社にしても業界を根本からガラリと変えてしまうまでの感じは今のところない。SI、受託業界の真のゲームチェンジャーは日本からではなく、海外から黒船のように現れる気がするのは私だけであろうか。

それにしてもこの業界は海外や異文化圏からの参入障壁が高すぎる。日本語の難しさ、独特の商習慣、老害、横並び意識、長時間労働、、、