ソフトウェア技術者にとっての理想郷を作ろう

以前に、続:SIerについて。そして「なぜ日本のソフトウェアが世界で通用しないのか」という記事を書きました。そこで中島聡さんの記事に触れました。今日、ふと気になってまたその記事を見返してみました。その記事というか、700以上もブックマークされている、はてなブックマークのコメントを読んでみました。

記事の内容に同感というコメントが概ねなのですが、中には批判的なコメントもそれなりにあります。いろんな考えの人たちがいるんだなと思いました。

ベイエリアのソフトウェア企業って良いよ

私はソフトウェア技術者ではないし、米国企業で働いた経験もまだ1年半ぐらいで、1社だけです。だけど、これはかなりの確信をもっていえます。米国ベイエリアのソフトウェア技術者たちの方が、東京で働くソフトウェア技術者よりも絶対に楽しそうに生きている!これは仕事だけではなくてオフの時間も含めて。(もちろん東京でも楽しく生きている技術者はいらっしゃいますよ。平均値の話です。)

サンフランシスコオフィスで働いていたとき、平日に「今日の予定はなんだ?」と聞かれたことが何度かあります。仕事の予定ではないですよ。仕事が終わってからの話です。たしかに5時に仕事が終わると結構夜が長いですからね。日本だと聞かれないですよね。毎晩8時や9時まで普通に仕事してますから。

もちろん仕事が終わってからは遊ぶ人もいれば、学校にいって勉強する人もいる。家で仕事をしている人もいるかもしれない。自己研鑽に励んでいる人もいるでしょう。健康づくりをしている人もいるでしょう。みな個人の選択です。

で、なぜベイエリアの方が楽しそうかって?すみません、言葉で説明できないです。会社の同僚や、パーティーで会った人や、カンファレンスで会った人から感じるのです。可能であれば体験してみてください。これはソフトウェア業界構造だけではなくて、気候や生活環境、文化、雰囲気の違いなどもあると思います。

もし私がティーンエージャーでベイエリアに住んでいたら、おそらくコンピューターサイエンスを専攻してソフトウェア技術者を目指したでしょう。そんな魅力がありました。

パッケージメーカーとSIerの比較

上述のはてブのコメントで、パッケージ製品メーカーとSIerを比較するなんておかしい、なんて意見がありました。そんな意見に対して何か違和感を感じます。だって業態が違ったって、ソフトウェア技術者が働く場所であることには変わりがないじゃないですか。

FacebookAppleGoogleで働いてみたいと思いませんか?大企業が嫌いであれば、FoursquareZynga, Yammer, Justin.tvなんていいえすね。YelpやPandora Radioなんかもおもしろいかもしれません。もちろん弊社(Atlassian)もオススメですよ。

一方、日本のSIerで働く方がいいと心の底から思っているあなた、それはもちろん否定しません。自分の好きなことをするのが一番です。本当にそう思います。本当ですよ。私はSIerを否定するつもりはありません。ただの業態の1つですから。そこが楽しいかどうかが重要です。

なんで日本は変わらない

日本のソフトウェア業界が今のままでいい、海外やアメリカなんて糞食らえだ、と心底思っている方はどれぐらいいらっしゃるのでしょうか。おそらく1〜3割ぐらいかと思います。残りの7〜9割は「変えたい」「変わりたい」「今のままじゃだめだ」あるいは「海外のソフトウェア企業で働きたい」なんて多かれ少なかれ考えているんだと思います。

そんなに多くの人が考えているとしたら、変わらないのが不思議なくらいです。この仕事、無駄だよなぁ、やる必要ないよなぁ、システムが悪いよなぁ、自動化すりゃいいんだよなぁ、根拠ないよなぁ、なんて愚痴をこぼしながら毎日終電まで仕事をして、体を壊したりして、土日は疲れて何もできずなんて生活ですよね。日本は不思議な国です。(ソフトウェア業界に限った話ではないですが。)

私はエンジニアではなく、ビジネスデベロッパーですから、日本でこのビジネスを成功させるという目標をもって日本に帰ってきました。だけど、もしソフトウェア技術者だったら、しがみついてでもベイエリアで働くことを選んだと思います。それぐらい楽しいところでした。(全米トップ25に入る「働きがいのある職場」ってどんなとこ?、で一部紹介した通りです。)

あるいはそれは全米トップ25に入るような素敵な職場だったからかもしれません。そうだとしても一度そんなソフトウェア技術者にとっての理想郷(マーケターにとっても理想郷ですが)を経験してしまった以上、忘れることはできません。日本もそんな理想郷があちこちにあふれるような環境になるといいと思いますし、微力ながら貢献できるようにしたいと思います。

いつものことですが、話がまとまってませんが、言いたかったのは、自分の現状を正当化している人が多いんじゃないの?ってことです。

Be the change you seek

自分が理想としている環境を言えますか?言えないものは実現できないです。

そして、その環境はどこかにありますか?本気で探してますか?日本ですか?ベイエリアですか?あるいは、今の環境(職場)を変えずに、理想に近づけたいですか?そのために何かしてますか?何をしてますか?

偉そうなことは言えませんが、多くの人が変えたい、変えようと思ったら変わるんじゃないかと思います。

"Be the change you seek" ガンジーの言葉がもとになっていますが、弊社の価値観の一つともなっています。エンジニアは自分でコードを書いて新しいものを作ります。エンジニアではなくとも-たとえばマーケター-こういうことをやりたいと企画して社内システム部門(うちは2つのシステム部門があり、1つは社内IT担当、もう一つは顧客関連のシステム担当。ここでは後者)とディスカッションを始めます。常に良いもの、良いやり方をもとめて行動するのです。

"Be the change you seek" を忘れないようにしたいと思っています。

追記
大事なこと書くの忘れてた。楽しくなければ良い仕事をするのは難しいです。