「ソーシャルイントラ」Flow型? Stock型?

今日「ソーシャルイントラ」というブログ記事を読みました。「ソーシャルイントラ」製品の一つであるConfluenceについて書かれています。その記事を読んで、「ソーシャルイントラ」製品の機能などについていくつか思ったことがあるのでここに書きます。*1

ソーシャルイントラ

以下、ブログ記事から引用します。

日経コミュニケーション5月号に、「社内のコミュニケーションを変える」 急速に広がる “社内向けFacebook” というサブタイトルでConfluenceと同じカテゴリである”ソーシャルイントラ”活用の研究という特集が組まれていた。 ※IT Proでは社内SNSというキーワードだ。

記事で紹介されていた製品は、

  • Yammer
  • IBM SmartCloud for Social Business
  • ChatWork
  • Chatter
  • Talknote

….なぜ、Confluenceがない????

と、記事にConfluenceが登場しなかったことに疑問を投げられています。

この記事でConfluenceが取り上げられなかった理由はおそらく、日本におけるConfluenceの知名度がまだ低いからでしょう。日経の記者の方がConfluenceをご存知ないかもしれません。

Yammerなどの共通項

ただし、知名度だけではなく、日経の記事でとりあげられた製品とConfluenceには機能的な違いもあります。(ひょっとしたらそこまで考慮してConfluenceをとりあげなかったのかもしれませんが。)

記事でとりあげられた製品(以下、Yammerなど、と呼びます)には、共通項があり、それは社内のコミュニケーションを円滑にするための製品という点です。*2

社内Twitterとか社内Facebookと形容され、社内に従来はなかった、オンラインでのゆるいつながりを提供します。メールに代わるもの、メールを補完するものとして、日本でも特にここ1年ぐらいで注目度が高まりつつある製品カテゴリーです。

Flow型とStock型

そんなゆるいつながりを提供するYammerなどは、いわゆるFlow型(組織内の日々のコミュニケーションを目的とし、それらの情報は時間とともに流れていく)の製品です。「A社に関する情報を探してるんだけれど誰かもっていませんかー?」などとつぶやき、それに反応があったりします。

Yammerにはメモやファイル共有機能などもありますが、製品の強みとなる機能ではありません。たとえば「一年ぐらい前にこんなキーワードを含んだ会話をして、それをもとに作成したファイルがどこかにあるはずだ」という場合で、Flow型の製品においてその会話とファイルを実際に見つけるのは簡単ではありません。

それに対してConfluenceはStock型(コミュニケーションをとりながらコンテンツを作成し、情報、ナレッジを蓄積して組織で利用できるようにする)の製品です。複数のメンバーで協力してコンテンツを作成し、あとから検索することも容易です。

もちろん、YammerなどにもStock的な機能(たとえばファイル共有、ページ共同作成など)はありますし、ConfluenceにFlow的な機能(たとえば、つぶやき、@メンション、 Likeなど)がありますので、はっきりと分けることはできません。ですが、Flow型とStock型、どちらに強みをもった製品、どこに投資をして機能強化をしている製品であるのかは自ずと分かることでしょう。

ソーシャルイントラ導入にあたり

もし自社に「ソーシャルイントラ」製品を導入するのであれば、Flow型とStock型のどちらが必要なのかをきちんと考慮する必要があります。

たとえば、やりたいことが「社内のゆるいつながり」であればConfluenceは合わないでしょうし、やりたいことが「組織の競争力を高めるための情報共有、ナレッジマネジメント」であればYammerでは物足りないでしょう。

そして両方が必要な場合もあるでしょう。実際にYammerとConfluenceを両方使用している企業が、日本でもすでに何社かあります。

コラボレーションの重要性

というわけで「ソーシャルイントラ」製品をFlow型とStock型に分類しました。

日本企業が組織内におけるソーシャルなアクティビティ、コミュニケーション、コラボレーションの重要性をこれまでにないほど重要視し、それを支援する製品やツールの導入が盛んになっていることはよいことです。国内だけでなく国際的な競争に日本企業が勝ち残っていくために必要なことだと思います。

コミュニケーションをとりながら個々の知を集結してナレッジを集積し、必要な時にそれをすぐに取り出すことができ、すでに他の人が考えたことや経験した同じことを仲間が利用できるようにする。そのようにして企業は顧客の要望に応える製品やサービスを素早く提供することが可能になり、そして他社よりも高い価値を提供することができます。

私自身、Confluenceを使用して日々それを実感しています。

安心して使ってください

以下は参照元ブログ記事を書かれたry0dさんへのメッセージです。

今回の記事を読み、多少なりとも自社製品ユーザーを不安にさせるようではいけないなと反省しています。ry0dさん、不安にさせてしまってごめんなさい。

でも日本でもConfluenceユーザーは順調に増えていますのでご安心ください。従来からのユーザーであるN社(ゲーム)、M社(SNS)、Y社(検索、ポータル)に加え、最近ではD社とG社(ソーシャルゲーム)、D社(動画)、R社(EC)など、各業界のリーディングカンパニーをはじめとし多くの企業が次々とConfluenceを導入してコラボレーションを開始しています。(Publicity Rightsがあるのでユーザー名を使用できるのですが一応伏せておきました)

ry0dさんが早くからConfluenceに目をつけ、使って頂いていたことを自慢できる日がくるように、日本での知名度を上げられるよう活動していきますよ。

日付を見ると週末にこのブログを書かれたようで、そんな熱狂的なユーザーをもっていて私はとてもうれしく思います。

*1:Confluenceは私が勤務するAtlassian社の主力製品の一つです。

*2:IBM SmartCloud for Social Businessは対象外。これはブランド力で掲載されていると思うので。