欧米人との英会話で日本人が心がける5つのこと

私は幸いここ4年ほど欧米人と会話をする機会に恵まれております。また自分以外についても、日本人が欧米人と会話をする機会を比較的多くみてきました。その中で、日本人が心がけた方がいいなと思うことがいくつか分かってきましたので、ここでまとめてみたいと思います。これはスキルうんぬんというよりは心がけ次第で改善できるものです。

参考までに自分の英語の実力について説明しておくと、初めて海外に行ったのが大人になってからなので帰国子女ではありません。ただし、日本人は自分しかいない海外企業に3年ほど勤務しているので、基本的なビジネス会話は大丈夫というレベルには達していると思います。英語が得意ではない方からは、英語ペラペラですね、と言われることもありますが、自分ではカタコトだと常に感じています。(英語に接すれば接するほど、自分の英語のできなさが分かってくる、、、)英語について語るにはまだまだ早いと思っていますが、自分用のメモとしての意味も含めて今回は書いてみます。

ここでの読者対象は、「英語の読み書きはできるけれど会話はうまくできない、緊張する」「年に1、2回出張して海外のカンファレンスに参加するIT技術者」といった層を想定しています。もちろんそれ以外の方にも参考になれば幸いです。

タイトルに「日本人が」と入れたのは、英会話の際に「日本人ならでは」という特徴があるからです。日本人が留意すべき点に的をしぼりました。(日本語で書いているので日本人しか読まないとは思いますが。)

1.できるだけ大きな声で話そう

日本人は声が小さすぎます。ゴチョゴチョと口ごもっていて、何を言っているのか聞き取れないケースが多いです。声がはっきり聞こえないので発音も文法も単語もへったくれもないです。ざっと半分以上の日本人はこれに当てはまるのではないでしょうか?

発音がうまくできないし、文法や単語が合っているか自信がないので恥ずかしいという気持ちもとてもよく分かります。でも勇気を出してできるだけ大きな声で話すようにしたいものです。

そしてこれは一段上のレベル(発音のレベル)の話ですが、日本語は口の前の方でゴチョゴチョと発声し、英語(特に米語)は喉の奥の方から響かせるように発声するという特徴があります。なので大きな声を出そうとすることは、英語の発音の改善につながる可能性もあります。

2.相手の名前を呼ぼう、自分の名前を呼んでもらおう

欧米人との会話では名前(ファーストネーム、ニックネーム)を呼ぶことがとても多いです。会話の文化的な違いです。たとえば欧米人は御礼を言う時 "Thank you, Sean." なんて名前を含めてさらっと言いますが、日本で「田中さん、ありがとう」などとはあまり言わないですから。英会話では意識して相手の名前を呼ぶようにしましょう。

名前を呼んでもらう際に問題になるのが日本人の名前です。日本人の特に男性の名前、たとえば Hiroyuki、Tomonori、Takeshiなど欧米人は見慣れておらず、発音もしづらいものが多く、覚えられないものです。名前を覚えてもらうことはコミュニケーションをする上でとても大事なので、工夫しましょう。

日本語にして4文字の名前、たとえばTakayukiだったらTaka、YoshinoriだったらYoshiぐらいの長さにした方がいいでしょう。頻繁に海外出張する人であれば名刺に印刷して、たまにしかいかない人であれば、手書きで名刺に書くのもいいと思います。

ちなみに私はShunsukeが本名ですが、欧米人には難しすぎるので、Sean(ショーン)というニックネームを使っています。名刺やシステムのアカウントなど全てSeanです。おかげでだいたいは覚えてもらえます。

コテコテの日本人なのに欧米人風の名前を使うのは恥ずかしいと感じるかもしれませんが、台湾人や中国人、その他のアジア人などは普通に欧米人風のニックネームを使っているので気にする必要はありません。

また、欧米人が相手の名前を呼ぶ「瞬発力」にはいつも感心させられます。廊下でバッタリあったりすれ違うときでも "Hey, Sean" とか "See you, Sean" なんて名前付きでとっさに声をかけられます。こちらは一瞬考えた上で "Hey, John" とか "What's up, Adam" とか言うことが多いです。日本人同士の会話ではあまり相手の名前を呼ぶことがないからでしょうね。

自分の名前を呼ばれると決して悪い気はしないので、私も相手の名前を覚えてできるだけ名前を呼ぶようにしています。

3.質問に直接的に回答しよう

日本人は回答する前に、理由や背景の説明から入ってしまうことが多いです。で、話し終わっても結局質問に回答していない場合も。これは特にビジネス会話では重要です。

日本人の感覚からすると少々不躾なようでも、相手の質問にまず直接回答しましょう。YesかNoを聞かれたらまずYesかNoを言う。Barに飲みにいかないかと誘われ、行きたくないならまず No, thanks. と言ってから理由を説明する。それを「明日は朝から電話会議があるから」とか「帰って資料を作成しないといけないから」とか、理由から先に答えるとややこしいことになります。

プロジェクトに興味があるのかどうか聞かれ、興味があるならYes、ないならNoと最初に言うべきです。分からない、決められない、という場合も最初にそう言うべきです。

これは相手に質問をする時も同様で、日本人はごちゃごちゃと細かい説明から入ってしまい、結局何を聞きたいのか分からないケースがよくあります。直接的な質問と回答を心がけましょう。


Credit/Dennis Stachel for GDC Europe

4.あいさつをしよう

親切で丁寧なのが特徴の一つである我らが日本人ですが、欧米人との会話となると急にテンパッてしまい、挨拶をするのを忘れがちです。"How are you?" と声をかけられているのに無視をしてしまったり。

挨拶をされたら "Fine. Thank you. And you?" などとこたえましょう。誰もが学校で習っていて知っているはずなのですが、実践になると意外とできない人が多いので、意識するようにするといいと思います。

こちらから声をかける場合でも "Hello" だけでもいいですし、できれば "How are you doing, Bob?" などと名前を添えて一言いいたいものです。

5.聞かれたことを聞き返そう

これは日本人だから、欧米人との会話だからというものでもないですが、会話の際に聞かれたことをそのまま聞き返すのは使えるテクニックです。自分が話したいことがあるときに、それをいきなり話さず、まず相手に質問してくるケースがあるからです。

たとえば「カンファレンスを楽しんでる?」と聞かれたら自分が適当に(It's great. とでも)答えた後、"And you?" と聞き返すと、相手は話しやすくなるので会話がはずみます。会話の流れがあれば "And you?" だけで、同じことを聞いているんだなと分かると思いますが、もし "And you what???" という顔をされたら "Did you find any favorite session? とか適当に補足するといいでしょう。

また、日本人にとって英語でスラスラと話すのはなかなか難しいことなので、相手にできるだけたくさん話してもらうようにするのは、会話を長続きさせるコツです。

聞かれたことを聞き返すのは日本語の会話だったら普通にできることだとおもいますが、英語になると急にできなくなってしまうので気をつけたいものです。


以上、欧米人との英会話で日本人が心がけることを5つあげて説明しました。どれも難しいことではなく、心がけるだけでも実践可能なことです。何かの参考になれば幸いです。