ボーダレスワールドに生きる、非エンジニアとしてのキャリアを考えた

昨日、「世界征服」をテーマにしたトークセッションを行いました。日本だけではなく、世界市場で成功するためにはどうしたらいいのか、といったことについてディスカッションをしました。日本で成功し海外展開に挑戦しているサイボウズ、日本と海外をほぼ同時に攻めていこうとするyouRoom、日本市場を攻略したいZoho、のそれぞれ、佐藤さん、倉貫さん、中澤さんとお話しすることができて自分自身、とても勉強になりました。ビデオアーカイブがありますのでご興味のある方はご覧下さい。

また今朝、何気なく増井雄一郎氏の武勇伝を読んで刺激を受けたこともあり、今日はグローバル社会における自分のキャリアについてあらためて考えてみました。

このことを考えるときにいつも思うのは、エンジニア(特にプログラマー)はスキルさえあれば、比較的、世界のどこででも働くチャンスがあるなぁということです。日本に依存せずに、という意味でです。実際に、世界で働く多くの日本人がエンジニアだと思います。(Tech業界の話)

グローバル企業で働ける理由

一方、私のような非エンジニアはそうではありません。私は今、グローバルなソフトウェア企業で働き、ビジネスデベロップメント、マーケティングを専門にしています。

日本を知っていることををウリにしています。日本で働いた経験が長いこと、もちろん日本語を話せて、日本文化を理解しています。海外の企業が日本でビジネスを展開したいときには、そういった日本を知っている人材が必要です。(英語が多少できることは前提です。)

そのような人材は意外と、そう多くはないですし、需要もそれなりにあるので、キャリアを考える上では、この方向性、強みを極めていくことがまず頭に浮かびます。

そのためには、今のAtlassianビジネスを日本でしっかりと成功させ、そのノウハウをためていき、他に応用できるようにすることです。世界と日本の架け橋、的な仕事を得意としていくわけです。

迷う理由

キャリアを考えると今の方向性において、スキルや必要なことに磨きをかけていくことが重要です。ですが、私はその方向性を突き詰めていくべきかどうか、少し迷っています。

理由は、
1)日本ではなく、また海外に住んで働きたい
2)日本の国際的なポジションに依存した自分の競争力なので、日本がこけたら自分もこけるかもしれない。今の日本を見ていると10年後、20年後、30年後が心配

理由の1)については、今取り組んでいるようにグローバル企業の日本への現地化(ローカライゼーション)を進める仕事だと、どうしても日本に住んで働く形になるのです。

これを解消するには、日本を含む地域マネージャーのような一段高いポジションに就くこと。あるいは、日本企業の世界進出をお手伝いするような仕事をすること。であれば海外に住んで仕事ができる可能性は高くなります。

理由の2)については、日本という国に依存してしまうのが怖いということです。日本は経済規模が大きく、言語や文化などがとてもユニークです。ポテンシャルはあるけれど海外からの参入障壁がとても大きい、という性質の国です。今のところはまだ経済規模がある程度、維持されていますが、GDPでは中国に抜かれて3位になるでしょうし、5年後はまだしも、10年後にどんな状況になっているのか想像がつきません。ともすると、世界から見た日本のポジションは、「ただ参入障壁が高いだけで、売上のポテンシャルは低い」といった魅力のない国になる可能性も大いにあります。

では、日本に依存しない方法で、海外でマーケティング系の仕事をするとなると、相当にハードルが高くなります。それはやはりコミュニケーションツールとしての英語の難しさです。英語のプラットフォーム上で、マーケターとして、他者よりも抜きでたスキルを持つ必要があります。帰国子女ではない私にとって、それは現実的にとても難しく感じます。

焦る必要はない

今やるべきことは、目の前の仕事を成功させることだと思います。理想とするところではない可能性もありますが、それでも十分に魅力的で、キャリア形成につながる仕事に就いていると思っています。今の仕事を成功に導いた結果、理想とするような仕事ができる可能性もあります。また、現状では「迷っている」程度なので、結論を出す段階ではありません。走りながら考え続ければいいと思っています。

つまり、世界と日本の架け橋的な仕事のスペシャリストになるべく、引き続きスキルを磨いていこうと思います。できるだけ、客観的に分かる、残る形で。

ボーダーレスワールド

ところで、私は、キャリアについてはどちらかというと草食系で、何がなんでも負けたくない!というタイプではありません。他人を蹴落としてでも勝ち残る、というタイプではありません。ストレスを感じるのが嫌いなのです。ストレスは健康によくないですから。

楽しく働けて、そこそこの条件であればいいと思っています。ただ、そのような仕事を、生涯にわたり継続的に得るためには、それなりのことをする必要があります。私は10数年勤めた日本の会社を辞め、留学経験もないのに渡米したわけですが、草食系の人間がすることではないようにも思えます。

そのような行動の根底にはずいぶん前に読んだボーダーレスワールド、の考え方があったのかもしれません。「ボーダーレスワールド」は私が知る限りでは大前研一さんが1990年(20年も前!)に提唱した考え方です。

この「ボーダーレスワールド」で「楽しく働けて、そこそこの条件」であるような仕事を、生涯にわたり継続的に得るためには、海外に住んでみることが必要だと思ったわけです。(その方法は他にもあると思いますが、私はその方法を選びました。)

ボーダーレスワールド化は今後ますます進んでいきます。キャリアについて考えることは継続的に行っていきたいと思います。