アジャイルな部屋作り

この夏にサンフランシスコから東京へ引越してきたときのこと。家具は全て向こうで処分してきたので、東京で住む部屋の家具は一から揃える必要があった。この時に私の取った手法は、アジャイル開発に似ていると思った。開発者が自分、顧客も自分、のアジャイル開発である。

条件

住みながら部屋づくりをする。(寝場所など常に必要なものがある=常にリリースをする必要がある)

考えられる方法

1. 間取りに合わせ、紙の上で配置を考え、家具をまとめて買ってしまう

2. 毎週末、少しずつ家具を買いそろえていく(アジャイル型、反復型)

私は 2. の方法で進めた。

ベッドや机といった、すぐに使うもの、絶対に必要なものをまず購入して配置した。(最初のリリース)

残りのスペースを見て、ロッカーやチェスト、書棚などを購入して配置した。これらは壁際に配置するものである。(イテレーション。以降、何度かのイテレーション。)

それから、中央のスペースを見て、ソファーやテーブルなどを購入して配置した。

最後にそれらに合わせて、雰囲気がマッチするような色のラグやカーテンを購入した。

メリット、デメリット

私の取った方法(アジャイル型)は、少しずつ、段階的に部屋を埋めていくので、「想像してたよりも空きスペースが少なかった!」といったことや、「イメージしていたよりも色の組み合わせが良くなかった」といった失敗が少ないはずである。

また、途中で計画を変更することもできる。実際にいくつかの家具は、最初に購入しようと思っていたものから変更をした。

一方で、まとめて家具を購入するよりも費用は多くかかっている。家具屋からの配達回数が多いので、その分、配達料金も高くなっている。また、時間も長くかかっている。

それから、完成前の部屋に住んでいるので、足りないものが多くありとても不便だ。たとえば、チェストなど収納がない時には当然ながら服を収納する場所がないし、最後までカーテンがなかったので、夏の日差しはきつかった。一度で部屋を完成させる計画を立て、それに合わせて入居すれば、そのような不便はない。

まとめ

アジャイルな方法で、住みながら段階的に部屋づくりを行ったので、とても気に入る部屋ができた(顧客の満足度は高い)。完成前の段階から部屋に住んでいたので、こんな家具がいいな、とニーズをより具体的にイメージし、次の家具購入にそのニーズを反映できた。

アジャイルな方法をとったが、早くできたわけではない。安くできたわけでもない。間取りに合わせて全ての家具を決めて、一度で購入して配達してもらえばもっと早く、安くできたはずだ。

長い時間を過ごす自分の部屋である。満足度を最優先に部屋づくりを行い、正解だった。