IT系の展示会で顧客を獲得する有効な方法とは?

今朝は salesforce.com が主催する cloudforce 2011 を見てきた。よくあるカンファレンスのように、セッションの他に展示会場が併設され、主催者および多くの協力会社がブースを出展していた。そこで考えた点について。

ブースの前を通る人に片っ端から声をかけるのは、顧客を獲得する上ではたして有効なのか?

私の経験からすると、声をかけられて話を聞くケースはほとんどない。声をかけられると、むしろ逃げるように立ち去る。一旦、話を聞き始めると、途中で興味がないと分かった時に、会話を打ち切るのが精神的に苦痛だからだ。「あ、興味ないのでもう十分です」なんて言いづらい。

自分としては、まず遠巻きからパネルを眺め、どんなものが展示されているかを理解し、近くにあればパンフレットにでもサラっと目を通したい。それで興味があるとわかったら、ブースに乗り込み、デモを見せてもらうなり、質問をするなりしたい。だから、いきなり声をかけられたくないのだ。

だから、企業側からすれば、

  • 何を展示しているのかパネルを見て分かるようにすること
  • 立ち止まりやすい雰囲気をつくること
  • 訪問者が質問をしたいときにすぐに答えられる体制を作っておくこと

このあたりをポイントにすべきだと思う。

ただ、これは私が顧客の場合であって、他の方はどうなのか分からない。一般的にはどうなのだろう?声をかけられたい方が多いのか、私のように声をかけられたくない方が多いのか。展示しているものが技術系のものであれば、私のような訪問者が多いように推測するが。

そもそも、マーケティングにおいては、展示会のようないわゆるアウトバウンドマーケティング(企業側から顧客にプッシュする、売り込む)で獲得する顧客単価は、インバウンドマーケティング(顧客側が企業、製品、サービスなどを見つける)の顧客単価よりもはるかに高いことが常識になりつつある。(実際に、私の会社でもインバウンドマーケティングに重きをおいている。)

一方、日本の顧客の特徴というのは少々、独特なので、米国等と比較しまだアウトバウンドマーケティングの有効性が高いのかもしれない。ベンダーやSIerからの提案を待っているような、受け身のユーザー企業、顧客が多いからだ。適切なソリューションは自分たちで考えたり、探すものではなく、ベンダーやSIerが提案「すべき」ものと思っているフシがある。ただし、これはユーザー企業だけに問題があるというわけではなく、長年のSI業界の構造に起因すると思っている。これについてはまた別途、考えて説明してみたいと思う。


p.s もっとも、もっとプライベートな展示会であれば、顧客はその企業や製品に興味をもっていることが分かっているので、声をかけてあげるのが親切かもしれないが。