「一人ジャパン」をどのように運営しているのか?
私はAtlassianというオーストラリアのソフトウェア企業の社員として、日本で働いています。Atlassianはソフトウェア開発ツールやコラボレーションソフトウェアを開発していて、世界百数十カ国に20,000社以上の顧客がいます。開発、サポートも世界の複数拠点で行なっているグローバル企業です。
日本にも数多くのユーザーがおり、その中には楽天、DeNA、GREE、ドワンゴ、Yahoo! Japan、NHN Japan、サイボウズ、任天堂、キャノン、デンソー(敬称略)といったエクセレントカンパニーや勢いのある企業も数多く含まれています。そしてデベロッパー、エンジニアというエンドユーザー数にすると、いま挙げた企業を合わせただけでも数万人の単位になります。
時々「Atlassianさんは日本に社員は何人いるんですか?」という質問をされます。日本には私一人しかいないので「一人です」と答えます。そうすると驚かれたり、「大変ですね」と言われます。
日本でビジネスを行う上では、いろいろな機能が日本ローカルで必要になってきます。馴染みのある方は外国企業の日本法人(いわゆるKK)にある機能を想像してもらうと分かりやすいと思います。例えば以下のような機能です。
- セールス(パートナーセールス、ハイタッチなど)
- プリセールスエンジニア
- マーケティング(エバンジェリスト、ウェブサイト、ソーシャルメディア、ブログ、イベント、PRなど)
- アフターサポート
- マネジメント
- 製品ローカライズ
- カスタマーサービス
ですので先に説明したぐらいの規模のビジネスを行っていると、5人や10人のスタッフがすぐに必要になってきます。一人で「大変ですね」と言われるのも無理はありません。
しかし、実際にはそんなに大変ではありません。
なぜそんなに大変ではないのでしょうか。
それは「一人ジャパン」は実際には一人ではないからです。高度に発達した情報共有、効率化の文化とツール、イノベーション、そしてビジネスエコシステムなどにより、日本という「現地では」一人の体制を実現できているのです。日本には一人しかいません*1が、実際に日本ビジネスに関わっているのは私一人では決してありません。オーストラリア本社やサンフランシスコオフィス、アムステルダムオフィス、そしてその他のオフィスにいる社員のリソースを使って成り立っているのです。*2
そのような体制はなかなか簡単には実現できないかもしれません。ですが私が思うに、少なくとも必要なことは、効率的に仕事ができる仕組みをもつことです。そして効率的に仕事をするために仕組みを改善していこうとする文化もまた大事です。
これからその内容を説明していきたいと思います。同じような立場の方の参考になれば幸いです。
ウェブサイトの運営
ウェブサイトはAtlassianにとって非常に重要なツールですのでまず最初に説明したいと思います。
年々パートナーセールスの比率が増しているとはいえ、Atlassian のグローバル市場においてはオンラインで行う直接販売が大多数をしめています。魅力的な製品を、世界中のどのチームにでも手の届く価格で提供するために、設立当初から営業コストを省いた結果、オンラインマーケティング、オンラインセールスが中心になっています。
「インバウンド・マーケティング」や「クチコミ」と言うと分かりやすいかもしれませんが、ともかくAtlassianにとってウェブサイトやブログ、その他のオンラインリソースはとても重要なものです。(日本市場においてはインバウンド・マーケティングでリーチできる範囲が、海外に比べいくらか限られているとはいえ、ウェブサイトなどはやはり重要なポイントです。)
Magnolia
Atlassian のウェブサイトは、オープンソースCMSのMagnoliaで構築されています。Magnolia を元にして弊社のデベロッパーが、多言語に対応できるウェブサイトを開発しました。
そのウェブサイトでは、コンテンツの大元はまず英語で作成します。そうすると同時に同じレイアウト、フォーマットで日本語やスペイン語、ドイツ語、フランス語などのローカルサイトににコンテンツが追加されます。そのコンテンツを翻訳することにより、オリジナルコンテンツと同じレイアウト、フォーマットで簡単に公開できるようになっています。
プロダクトマーケティングチームが新しいコンテンツ(英語)を作成すると、自動的に私たちのようなローカルマーケット担当者に通知が送信されてきます。そこで日本語サイトを開いて、翻訳して保存し、アクティベーションをかけます。ここまでは私の方で行えます。このあと念のためウェブサイトチームがこの内容を確認し、1日に数回、本番サイトが更新されます。
従来であれば、コンテンツを翻訳して、それをウェブサイト担当者に送ってアップロードしてもらったりしていたでしょう。日本語のコンテンツだと外国人は改行位置などが分からないので、修正が何度か行われたりして実際にコンテンツが公開されるまでに時間がかかるでしょう。私の場合はそれを自分の手元で直接できますので、時間をとても短縮できます。だから製品の新バージョンリリースなどの時も、英語版サイトとほとんどタイムラグがなく、日本語サイトをアップできます。
また、特に弊社の製品はアジャイル開発により、リリースのサイクルが早い(3ヶ月程度のものが多い)ので、従来のような仕組みであれば古くなってしまったコンテンツがあちこちに見られるといった悲惨な状況になっていたことでしょう。
なお、このウェブサイトの仕組みについては先日、弊社担当者がMagnolia Conferenceで発表をしていますので、ご興味のある方はご覧になってみてください。
優先順位付け
簡単に日本語サイトが作成できるとはいえ、10種類以上の製品があるので全ページを翻訳している時間はありません。製品やコンテンツに優先順位をつけて日本語化を行なっています。製品の優先順位付けは売上を基準にしたり、戦略を考慮に入れる必要もあります。基本的に、コンテンツは購入プロセスに必要なページ(トップページ、価格ページ、トライアル、など)から優先して翻訳しています。
なお、ウェブサイトの翻訳は今のところほとんど全て自分でやっています。特にウェブサイトのようなマーケティングな内容は、オリジナルにこめられたメッセージを、日本語にしても伝える必要があり、社員以外が行うのはかなり難しいと思っています。
A/Bテスト
A/Bテストを行う場合もあります。製品Aはツアーページを日本語化して、製品Bはデモビデオを日本語化して、どちらがアクセス数が増えたかとかコンバージョン率が高くなったかなど比較したりします。その結果によって、翻訳の優先順位を変えていったりします。(まあ、日本はウェブサイトから購入する直販比率が低いですし、購入までのリードタイムも長くプロセスも複雑なのでこういったA/Bテストの結果はなかなか分かりづらいのですが。)
臨機応変に
先日「あなたはオフィスでたくさんの時間をムダにしています。」というインフォグラフィックを公開しましたが、これもMagnolia上で翻訳、作成しています。実はこのインフォグラフィックは当初は日本語化する予定ではありませんでした。企画段階で担当者に相談したところ、テキストではなくグラフィックで作成されるから翻訳するにもデザイン作業が必要になるし、使用する統計情報もアメリカのものが多いから、そこまで時間をかけて日本語化する価値はないだろうという結論だったのでした。
ところが公開されてみると、日本人が見ても十分おもしろいものだし、当初の予定とは違いMagnolia上にテキストで展開されていたので、慌てて1,2時間でザッと翻訳して急遽、日本語版を公開したのでした。すると予想通りすぐに2,000以上のページビューを集め、新バージョンのマーケティングに貢献する結果となり、即座に日本語化できるシステムで良かったなと思いました。
つづく
「モダンミーティング」に必要な7つの原則
組織でビジネスをする上でミーティングは必要不可欠なことです。ですがやり方によってはミーティングは時間をムダにするものになります。効率良くミーティングを行う方法はあちこちで提案されていますが、私がいつも参考にしている本をご紹介したいと思います。
「Read This Before Our Next Meeting」(Al Pittampalli 著、2011年8月出版) です。もし邦題をつけるなら「これを読まずにミーティングに参加するのはやめなさい」といったところでしょうか。
特に日本のビジネスパーソンに
何も決めていない状態でミーティングを行うことは時間のムダです。決められない日本人は、何かを決めるために多くの人をミーティングに参加させたはずが、結局決められずに参加者の貴重な時間を奪っています。この本は日本向けに書かれたものではないのですが、日本人ができていない多くのことを主張しているように感じます。
「Read This Before Our Next Meeting」概要
本書からポイントを抜粋して抄訳していきます。
-
- ミーティングが多すぎる。そしてムダなミーティングが多すぎることに私たちは気づくべきだ。
- ビジネスが複雑な問題を抱える中で、調整や一致を必要としてミーティングは存在した。ミーティングとは、複雑なプロジェクトに対して知的な意思決定を行い、チームが効率的に動けるようにすること。
- 従来のミーティングは「妥協の文化」を生み、「切迫感」を失わせている。
- 会話、グループワークセッション、ブレインストーミングはミーティングと呼ぶべきではない
- では「モダンミーティング」とは何か?それはたった一つの理由のために存在する、聖なるツールである。その理由とは「意思決定の支持を得ること」である。
「モダンミーティング7つの原則」
著者の Al Pittampalli 氏は「従来のミーティング」に対し「モダンミーティング」を次のように説明しています。
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「モダンミーティング」は、
- すでに決めたことの支持を得るために行う
- 速く進め、時間通りに終わる
- 参加者数を限定する
- 準備不足は許されない
- 明確なアクションプランができあがる
- 情報提供はしない。メモを読んでおくことは必須である
- ブレーンストーミングの文化とセットで機能する
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以下、各原則について説明を加えていきます。
1.「モダンミーティング」はすでに決めたことの支持を得るために行う
-
- 結局のところ、意思決定とは個人によって行われるもの
- 「予備的な意思決定」をせずにミーティングを開いてはならない
- 支持すべき意思決定があって「モダンミーティング」は開かれる
- 議論を投げかけるものではない
- 「予備的な意思決定」に必要な情報があれば、個別に聞くべき
- 「モダンミーティング」にとって「衝突」と「調整」は重要である
- 「衝突」:衝突する意見は望ましいもの。予備決定をしたあとに、異なる意見や真剣な反対があったらそれらをテーブルに並べて検討する。もし衝突したくないなら、「モダンミーティング」なんて開かず、そのまま決めて、メモを送ってしまうのがいいだろう。
- 「調整」:意思決定により導かれたアクションは時に適切な調整が必要である。計画を上手くすすめるために賢い人に参加してもらうのがいいだろう。
2.「モダンミーティング」は速く進め、時間通りに終わる
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- 従来のミーティングは時間がなくなると延長したり、もう一度ミーティングを開いたりしてしまう
- 終わりの時間を決めることにより、それまでに意思決定が行われる
- 時間があるほど余計な議論が始まり、同じ話を繰り返す
3.「モダンミーティング」は参加者数を限定する
-
- 従来のミーティングは参加者が多すぎる
- 満場一致のために必要な合意数は、2人なら1つだが、4人なら6つ、10人なら45もの数になる
- ミーティング参加者は次のことを自身に問うべき
- ミーティング後に自分は機能できるか?
- 事前に議論された意思決定を与えられたら、事前に自分の意見が言えるか?
- 話に参加しなくてもミーティングに出席しているだけで何らかの価値をもたらせるか?
- 象徴的な存在として、あるいは権力を誇示するためだけに参加していないか?
- もし強い意見がなかったり、結果に興味がないなら、参加を要請されても断るべき
4.「モダンミーティング」では準備不足は許されない
5.「モダンミーティング」では明確なアクションプランができあがる
-
- 「モダンミーティング」において詳細な議事録は不要
- 知る必要があるのは、意思決定とアクションプランだけ
- 参加を要請されたのにミーティング後に担当するアクションプランがなかった場合、次の参加を断ってもよい
- アクションプランには少なくとも以下を含むこと
- どんなアクションにコミットするのか?
- 各アクションの責任者は?
- アクションをいつまでに完了すべきか?
- ミーティング後、参加者が同意したアクションをきちんと実行しているか、リーダーがチェックする
6.「モダンミーティング」は情報提供はしない。メモを読んでおくことは必須である
-
- メッセージが伝わっているか確認する方法として、従来のミーティングは開かれていた
- 「モダンミーティング」は、メッセージを読まない組織では成り立たない
- 考えはまとめて文書にし、読むに値するものにする
7.「モダンミーティング」はブレーンストーミングの文化とセットで機能する
-
- ブレインストーミングは不合理なように聞こえるが、「モダンミーティング」の成功には欠かせない
- 結局のところ「モダンミーティング」は意思決定にフォーカスするもの
- ブレインストーミングの基本原則(一部だけ抜粋)
あなたが決めるべき
いかがでしたでしょうか?私なりには「モダンミーティングとは、必要な情報はあらかじめ調べ、会話をし、そして考えぬいた自分の意思決定について、関係者からの支持を得て、その関係者のアクションプランを明確にしコミットしてもらうもの」と解釈しています。
そう、あなたが決めないといけないのです。あなたが決めるべきなのです。大した知識もなく、下調べもしていない会議参加者によって多数決で決めたり、その後何もしない上長による「鶴の一声」で決めるなんて馬鹿なことをするのはもうやめましょう。
本書に書かれていることを実践するのは簡単ではないと思いますが、一流の組織をつくるために取り組む価値があると思います。
このやり方を実践する上で質問があるかと思いますが、本書にはFAQもあります。日本語版は今のところありませんので、興味がある方はぜひ原書を読んでみてください。80ページと薄い本(私は電子書籍で読みましたが)なのでそれほど時間はかからないと思います。日本企業の生産性が向上することを願っています。
欧米人との英会話で日本人が心がける5つのこと
私は幸いここ4年ほど欧米人と会話をする機会に恵まれております。また自分以外についても、日本人が欧米人と会話をする機会を比較的多くみてきました。その中で、日本人が心がけた方がいいなと思うことがいくつか分かってきましたので、ここでまとめてみたいと思います。これはスキルうんぬんというよりは心がけ次第で改善できるものです。
参考までに自分の英語の実力について説明しておくと、初めて海外に行ったのが大人になってからなので帰国子女ではありません。ただし、日本人は自分しかいない海外企業に3年ほど勤務しているので、基本的なビジネス会話は大丈夫というレベルには達していると思います。英語が得意ではない方からは、英語ペラペラですね、と言われることもありますが、自分ではカタコトだと常に感じています。(英語に接すれば接するほど、自分の英語のできなさが分かってくる、、、)英語について語るにはまだまだ早いと思っていますが、自分用のメモとしての意味も含めて今回は書いてみます。
ここでの読者対象は、「英語の読み書きはできるけれど会話はうまくできない、緊張する」「年に1、2回出張して海外のカンファレンスに参加するIT技術者」といった層を想定しています。もちろんそれ以外の方にも参考になれば幸いです。
タイトルに「日本人が」と入れたのは、英会話の際に「日本人ならでは」という特徴があるからです。日本人が留意すべき点に的をしぼりました。(日本語で書いているので日本人しか読まないとは思いますが。)
1.できるだけ大きな声で話そう
日本人は声が小さすぎます。ゴチョゴチョと口ごもっていて、何を言っているのか聞き取れないケースが多いです。声がはっきり聞こえないので発音も文法も単語もへったくれもないです。ざっと半分以上の日本人はこれに当てはまるのではないでしょうか?
発音がうまくできないし、文法や単語が合っているか自信がないので恥ずかしいという気持ちもとてもよく分かります。でも勇気を出してできるだけ大きな声で話すようにしたいものです。
そしてこれは一段上のレベル(発音のレベル)の話ですが、日本語は口の前の方でゴチョゴチョと発声し、英語(特に米語)は喉の奥の方から響かせるように発声するという特徴があります。なので大きな声を出そうとすることは、英語の発音の改善につながる可能性もあります。
2.相手の名前を呼ぼう、自分の名前を呼んでもらおう
欧米人との会話では名前(ファーストネーム、ニックネーム)を呼ぶことがとても多いです。会話の文化的な違いです。たとえば欧米人は御礼を言う時 "Thank you, Sean." なんて名前を含めてさらっと言いますが、日本で「田中さん、ありがとう」などとはあまり言わないですから。英会話では意識して相手の名前を呼ぶようにしましょう。
名前を呼んでもらう際に問題になるのが日本人の名前です。日本人の特に男性の名前、たとえば Hiroyuki、Tomonori、Takeshiなど欧米人は見慣れておらず、発音もしづらいものが多く、覚えられないものです。名前を覚えてもらうことはコミュニケーションをする上でとても大事なので、工夫しましょう。
日本語にして4文字の名前、たとえばTakayukiだったらTaka、YoshinoriだったらYoshiぐらいの長さにした方がいいでしょう。頻繁に海外出張する人であれば名刺に印刷して、たまにしかいかない人であれば、手書きで名刺に書くのもいいと思います。
ちなみに私はShunsukeが本名ですが、欧米人には難しすぎるので、Sean(ショーン)というニックネームを使っています。名刺やシステムのアカウントなど全てSeanです。おかげでだいたいは覚えてもらえます。
コテコテの日本人なのに欧米人風の名前を使うのは恥ずかしいと感じるかもしれませんが、台湾人や中国人、その他のアジア人などは普通に欧米人風のニックネームを使っているので気にする必要はありません。
また、欧米人が相手の名前を呼ぶ「瞬発力」にはいつも感心させられます。廊下でバッタリあったりすれ違うときでも "Hey, Sean" とか "See you, Sean" なんて名前付きでとっさに声をかけられます。こちらは一瞬考えた上で "Hey, John" とか "What's up, Adam" とか言うことが多いです。日本人同士の会話ではあまり相手の名前を呼ぶことがないからでしょうね。
自分の名前を呼ばれると決して悪い気はしないので、私も相手の名前を覚えてできるだけ名前を呼ぶようにしています。
3.質問に直接的に回答しよう
日本人は回答する前に、理由や背景の説明から入ってしまうことが多いです。で、話し終わっても結局質問に回答していない場合も。これは特にビジネス会話では重要です。
日本人の感覚からすると少々不躾なようでも、相手の質問にまず直接回答しましょう。YesかNoを聞かれたらまずYesかNoを言う。Barに飲みにいかないかと誘われ、行きたくないならまず No, thanks. と言ってから理由を説明する。それを「明日は朝から電話会議があるから」とか「帰って資料を作成しないといけないから」とか、理由から先に答えるとややこしいことになります。
プロジェクトに興味があるのかどうか聞かれ、興味があるならYes、ないならNoと最初に言うべきです。分からない、決められない、という場合も最初にそう言うべきです。
これは相手に質問をする時も同様で、日本人はごちゃごちゃと細かい説明から入ってしまい、結局何を聞きたいのか分からないケースがよくあります。直接的な質問と回答を心がけましょう。
Credit/Dennis Stachel for GDC Europe
4.あいさつをしよう
親切で丁寧なのが特徴の一つである我らが日本人ですが、欧米人との会話となると急にテンパッてしまい、挨拶をするのを忘れがちです。"How are you?" と声をかけられているのに無視をしてしまったり。
挨拶をされたら "Fine. Thank you. And you?" などとこたえましょう。誰もが学校で習っていて知っているはずなのですが、実践になると意外とできない人が多いので、意識するようにするといいと思います。
こちらから声をかける場合でも "Hello" だけでもいいですし、できれば "How are you doing, Bob?" などと名前を添えて一言いいたいものです。
5.聞かれたことを聞き返そう
これは日本人だから、欧米人との会話だからというものでもないですが、会話の際に聞かれたことをそのまま聞き返すのは使えるテクニックです。自分が話したいことがあるときに、それをいきなり話さず、まず相手に質問してくるケースがあるからです。
たとえば「カンファレンスを楽しんでる?」と聞かれたら自分が適当に(It's great. とでも)答えた後、"And you?" と聞き返すと、相手は話しやすくなるので会話がはずみます。会話の流れがあれば "And you?" だけで、同じことを聞いているんだなと分かると思いますが、もし "And you what???" という顔をされたら "Did you find any favorite session? とか適当に補足するといいでしょう。
また、日本人にとって英語でスラスラと話すのはなかなか難しいことなので、相手にできるだけたくさん話してもらうようにするのは、会話を長続きさせるコツです。
聞かれたことを聞き返すのは日本語の会話だったら普通にできることだとおもいますが、英語になると急にできなくなってしまうので気をつけたいものです。
以上、欧米人との英会話で日本人が心がけることを5つあげて説明しました。どれも難しいことではなく、心がけるだけでも実践可能なことです。何かの参考になれば幸いです。
IPO候補として注目されるAtlassianの新しいオフィス
先日FacebookがIPOしましたが、次のTech企業の大型IPO候補の13社としてTwitterやEvernote、DropboxなどとともにAtlassianがあげられていました。Mashable記事 Which of These 13 Companies Will Be the Next Big Tech IPO? をご覧ください。
私は以前AtlassianのSFオフィスで働いており、「全米トップ25に入る「働きがいのある職場」ってどんなとこ?」という記事でその様子を紹介しました。
人数の増加に伴いAtlassianは最近、SF市内でオフィスを引越し、新しくなりました。今日からそのオフィスに来ているので、その様子を少し紹介します。
一番の特徴はこの大きなスタジアムシーティング。二階へあがる階段なのですが座れるようになっており、全員でのミーティングなどはここを使います。
キッチンは1階と2階にあります。もちろんフリーフード、フリードリンク。1階の方にはビールサーバーもあります。
そして、San Franciscoで自転車通勤しやすい会社として選ばれたAtlassianの自転車置場はもちろん広いです。
ここはジャングルと呼ばれる場所。この二人は私のチームメイトです。
長時間座っていると疲れるので、立ったまま仕事をできる机もたくさんあります。
この一角は無料コードホスティングで人気のBitbucketチーム。
広い卓球場。市内なのにこれだけのスペースを確保できるのが、東京との大きな違いですね。
San Franciscoにお越しの際はぜひ遊びにきてください。 :)
「ソーシャルイントラ」Flow型? Stock型?
今日「ソーシャルイントラ」というブログ記事を読みました。「ソーシャルイントラ」製品の一つであるConfluenceについて書かれています。その記事を読んで、「ソーシャルイントラ」製品の機能などについていくつか思ったことがあるのでここに書きます。*1
ソーシャルイントラ
以下、ブログ記事から引用します。
日経コミュニケーション5月号に、「社内のコミュニケーションを変える」 急速に広がる “社内向けFacebook” というサブタイトルでConfluenceと同じカテゴリである”ソーシャルイントラ”活用の研究という特集が組まれていた。 ※IT Proでは社内SNSというキーワードだ。
記事で紹介されていた製品は、
- Yammer
- IBM SmartCloud for Social Business
- ChatWork
- Chatter
- Talknote
….なぜ、Confluenceがない????
と、記事にConfluenceが登場しなかったことに疑問を投げられています。
この記事でConfluenceが取り上げられなかった理由はおそらく、日本におけるConfluenceの知名度がまだ低いからでしょう。日経の記者の方がConfluenceをご存知ないかもしれません。
Yammerなどの共通項
ただし、知名度だけではなく、日経の記事でとりあげられた製品とConfluenceには機能的な違いもあります。(ひょっとしたらそこまで考慮してConfluenceをとりあげなかったのかもしれませんが。)
記事でとりあげられた製品(以下、Yammerなど、と呼びます)には、共通項があり、それは社内のコミュニケーションを円滑にするための製品という点です。*2
社内Twitterとか社内Facebookと形容され、社内に従来はなかった、オンラインでのゆるいつながりを提供します。メールに代わるもの、メールを補完するものとして、日本でも特にここ1年ぐらいで注目度が高まりつつある製品カテゴリーです。
Flow型とStock型
そんなゆるいつながりを提供するYammerなどは、いわゆるFlow型(組織内の日々のコミュニケーションを目的とし、それらの情報は時間とともに流れていく)の製品です。「A社に関する情報を探してるんだけれど誰かもっていませんかー?」などとつぶやき、それに反応があったりします。
Yammerにはメモやファイル共有機能などもありますが、製品の強みとなる機能ではありません。たとえば「一年ぐらい前にこんなキーワードを含んだ会話をして、それをもとに作成したファイルがどこかにあるはずだ」という場合で、Flow型の製品においてその会話とファイルを実際に見つけるのは簡単ではありません。
それに対してConfluenceはStock型(コミュニケーションをとりながらコンテンツを作成し、情報、ナレッジを蓄積して組織で利用できるようにする)の製品です。複数のメンバーで協力してコンテンツを作成し、あとから検索することも容易です。
もちろん、YammerなどにもStock的な機能(たとえばファイル共有、ページ共同作成など)はありますし、ConfluenceにFlow的な機能(たとえば、つぶやき、@メンション、 Likeなど)がありますので、はっきりと分けることはできません。ですが、Flow型とStock型、どちらに強みをもった製品、どこに投資をして機能強化をしている製品であるのかは自ずと分かることでしょう。
ソーシャルイントラ導入にあたり
もし自社に「ソーシャルイントラ」製品を導入するのであれば、Flow型とStock型のどちらが必要なのかをきちんと考慮する必要があります。
たとえば、やりたいことが「社内のゆるいつながり」であればConfluenceは合わないでしょうし、やりたいことが「組織の競争力を高めるための情報共有、ナレッジマネジメント」であればYammerでは物足りないでしょう。
そして両方が必要な場合もあるでしょう。実際にYammerとConfluenceを両方使用している企業が、日本でもすでに何社かあります。
コラボレーションの重要性
というわけで「ソーシャルイントラ」製品をFlow型とStock型に分類しました。
日本企業が組織内におけるソーシャルなアクティビティ、コミュニケーション、コラボレーションの重要性をこれまでにないほど重要視し、それを支援する製品やツールの導入が盛んになっていることはよいことです。国内だけでなく国際的な競争に日本企業が勝ち残っていくために必要なことだと思います。
コミュニケーションをとりながら個々の知を集結してナレッジを集積し、必要な時にそれをすぐに取り出すことができ、すでに他の人が考えたことや経験した同じことを仲間が利用できるようにする。そのようにして企業は顧客の要望に応える製品やサービスを素早く提供することが可能になり、そして他社よりも高い価値を提供することができます。
私自身、Confluenceを使用して日々それを実感しています。
安心して使ってください
以下は参照元ブログ記事を書かれたry0dさんへのメッセージです。
今回の記事を読み、多少なりとも自社製品ユーザーを不安にさせるようではいけないなと反省しています。ry0dさん、不安にさせてしまってごめんなさい。
でも日本でもConfluenceユーザーは順調に増えていますのでご安心ください。従来からのユーザーであるN社(ゲーム)、M社(SNS)、Y社(検索、ポータル)に加え、最近ではD社とG社(ソーシャルゲーム)、D社(動画)、R社(EC)など、各業界のリーディングカンパニーをはじめとし多くの企業が次々とConfluenceを導入してコラボレーションを開始しています。(Publicity Rightsがあるのでユーザー名を使用できるのですが一応伏せておきました)
ry0dさんが早くからConfluenceに目をつけ、使って頂いていたことを自慢できる日がくるように、日本での知名度を上げられるよう活動していきますよ。
日付を見ると週末にこのブログを書かれたようで、そんな熱狂的なユーザーをもっていて私はとてもうれしく思います。
*1:Confluenceは私が勤務するAtlassian社の主力製品の一つです。
*2:IBM SmartCloud for Social Businessは対象外。これはブランド力で掲載されていると思うので。
スキルとしての JIRA
今回は私の希望の一つというか、こういう風にしていきたいと思っていることを書きます。(自社製品の宣伝みたいなものなのであしからず、、、)
ソフトウェア開発やプロジェクトで使用する課題管理システムの一つに JIRA という製品があります。私は、「JIRA をマスターしていると食いっぱぐれがない」という状況を目指したいと思っています。目指すというか、普及活動の結果、そのようになればいいなと。
課題管理はどんなソフトウェア開発やプロジェクトにおいても必須ですし、開発全体の生産性に関わるとても重要なポイントですから、そのスペシャリストが一つの仕事として成り立つようになればいいなと考えています。
LinkedIn で検索
LinkedIn の Job Search でキーワードに JIRA と入力して、国を米国に指定し検索すると、下記のとおり208件の結果が表示されます。一つ一つみていくと、必要なスキルや経験のところに JIRA と入っていたりします。
米国では JIRA がかなり標準的に使われていること、そしてスキルとして認められていることが分かります。米国の他、英国やカナダ等で検索してもかなりの数が出てきます。
ちなみに他の課題管理システムで検索してみると Trac 27 件、Redmine 12 件、Bugzilla 54 件となっています。その他の開発ツールでは、Jenkins 84 件、Github 123 件、Subversion 393 件。プロプライエタリ系では、Team Foundation Server が 137 件でてきます。
日本では
一方、国を日本に指定し JIRA で検索すると、結果は0件です。
日本では LinkedIn のユーザー数が少ない、LinkedIn による求人がまだ一般的ではないということももちろんあります。ですが、この結果が米国のようにたくさん出てくるようにしたいと思っています。
自社製品のユーザーが製品に満足して、それをスキルとして獲得し、さらにその後仕事をしていく上でもそのスキルが役に立つようになれば、私としてはとてもうれしいからです。(ちなみに弊社 Atlassian では、今年の2月から JIRA 管理者の認定資格プログラムを開始しています。)
受託開発の課題管理にExcelが使われる理由(まとめ)
受託開発の課題管理に用いられるツールとしてExcelはとても人気があります。しかし必ずしもExcelに満足して使っているわけではなく、ベストな選択だと思われていないケースが多いようです。笑ってはいけないSIerシリーズにもたくさんのExcel逸話がでてきます。Excelは課題管理のために設計されたアプリケーションではないので当然といえば当然なのです。
では、満足していないのになぜExcelは使い続けられるのでしょうか?この疑問をもった私はTwitterで問いかけたところ、多くの回答が集まりました。受託開発の課題管理にExcelが使われる理由、としてまとめましたが、ここではその理由を大きく3つに分類してみました。
便宜上、Excelに相対するツールとしてITS (Issue Tracking System 課題管理システム) という言葉を使っています。バグ管理やプロジェクト管理も含め、専用のツール、システムという意味で使用します。
Excelを使う理由の分類 - 何よりも手軽だから!
1. 誰でも開ける、使える
- 大規模になるほど利害関係者も沢山(ITに弱い人も多い)
- おエラい様方でも見られる
- お客様も開ける形式じゃないとダメ
2. 導入が簡単
- 操作方法の説明がいらない
- ユーザー管理不要
- ITS は導入、開始までのハードルが高い
- ITS は学習コストがかかる
3. ネットワークセキュリティの懸念不要
- ネットワーク越しにアプリケーションを操作できるようにするのはセキュリティ上の不安がある
- ITS では、客側にもアクセスの準備をしてもらう必要がある
4. いろいろな意味で使いやすい
- スケジュールと課題管理と改版履歴を1ファイルで扱えてファイルサイズも小さい。他ツールへの情報活用(コピペ)が容易に出来る
- (管理表として)方眼紙みたいで使いやすい
- メールに添付出来て会議で配布し易い
- 印刷するといい感じの書類になる
- 報告用の文書を兼ねたい
Excelを使う理由の分類 - 受託開発の現実に合っている!
5. 報告書が作成しやすい
- おエラい様方への状況報告が必要
- Excel集計関数による分析
6. データ表示の「柔軟性」が高い
- まずい情報を非表示とかで簡単に消せて、履歴も残らないから証拠隠滅が簡単
- お客に見せる情報(課題)とプロジェクトで共有する課題が違う
- タテマエとホンネを使い分けたい
7. 一括処理が容易
- 何言いたいのか意味不明な文を書く人が多く、それらを一気に直す作業が多い
Excelを使う理由の分類 - 今までどおりでいいじゃん!
8. 他のツールをよく知らない
- ITS についてよく知らない
- ITS を使ったことがない
- 目的に応じてツールを選ぶ能力がない
その他にも「技術者だから手作りしたい。専用ツール導入してるとPM能力不足と自白してるみたい。」「フリーのものは信頼できない」といった理由がありました。
Excelをやめるには
プロジェクトの規模や特性によってExcelを使うことが最適解である例もあると思います。なので、課題管理にExcelを使うのは絶対にやめるべきとは考えていません。しかし多くのケースにおいては課題管理のために設計された専用ツール(ITS)を使った方がプロジェクト全体の効率を上げ、成功に導けるのではないでしょうか。
ではどうしたらExcelをやめられるでしょうか?
まず「何よりも手軽だから!」については、プロジェクトの目的を考えるのがいいと思います。プロジェクトは成功させるものであって、それには労力や変化が伴ないます。手軽だから、みんなから不満が出ないから、お偉いさんが満足するから、といった近視眼的な理由で、プロジェクトのとても重要な部分である課題管理ツールを決めるべきではありません。
プロジェクトを成功させるという大局的観点から選ぶべきです。それを決めるのはプロジェクトマネージャーなのか、プロジェクトオーナー(顧客、発注側)なのか、あるいは他の誰かなのか、組織やケースによって異なると思いますが、いずれにせよプロジェクトを成功させたいと思ったら、課題管理ツールの選定はもっと真剣に考えるべき部分ではないでしょうか。成功に向けた熱意が必要です。
次に「受託開発の現実に合っている!」ですが、特に「タテマエとホンネを使い分けたい」という理由については難しいところです。理想をいえば、顧客側と開発側の間に強固な信頼関係があり、課題管理システムを共有することです。タテマエとホンネを使い分けることなく課題を共有し、オープンにプロジェクトを進める方が失敗も早期に分かり、修正も早期に行えるので、成功につながりやすいはずです。
現実はどうなのでしょうか?これはまた別の大きなトピックなので詳細は割愛しますが、さまざまな理由があり、顧客とは課題を共有せずに、都合のいい部分を抜き出して定期的に報告をしているといったプロジェクトが多いのが現実でしょう。これを打開するには、顧客側から課題の共有を要求するのは一つの手かもしれませんね。顧客側の立場が強いことが多いでしょうから。
最後に「今までどおりでいいじゃん!」については、市場全体が成長する段階においては有効な方法の一つであったのかもしれません。しかし、危機が叫ばれて久しいSI業界においてはとても危険な考え方です。新しい技術、ツール、製品、サービスを学び、既存のExcelによる管理と比較した上で、Excelの方が効率が良いと判断するのであればよいですが、ただ面倒だから、時間がないからという理由で、今までどおりの方法を続けるのは避けるべきだと思います。
IT による効率化
テクノロジーを活用して効率化できる手段があるのにそれを選択せず、手でチマチマ仕事をして、それで仕事をした気になっている人たちを見ると私はイライラしてしまいます。課題管理にExcelを使うことについても同じように感じることがあります。効率化できる手段は最大限に活用して、仕事をこれまでよりも短い時間で終わらせ、より良い結果を残し、「デスマーチ」なんかとは早くおさらばして欲しいと切に願います!
(上述しましたが、Excelが絶対ダメと考えているわけではないです。念のため。)
p.s
記事が二重投稿になっていたのでいじっていたら、せっかく頂いていたコメントが消えてしまいました、、、
スクリーンショットを貼り付けておきます。